äドイツ語 単語と熟語
← ブログ一覧
文法

ドイツ語の不規則動詞完全ガイド|母音パターン別に効率よく覚える

「規則動詞は覚えたのに、gehen の過去形が gegangen ってどうして?」——ドイツ語学習の最初の山がここです。不規則動詞は数こそ多くありませんが、使用頻度の高い基本動詞ばかり。避けては通れません。

ただ、安心してください。不規則動詞は完全にバラバラに変化しているわけではなく、母音パターンでグループ分けできます。本記事では、まず覚えるべきTOP30、9つの幹母音パターン、現在人称変化、混合変化、自動詞・他動詞ペア、そして効率的な暗記法までを一気通貫で解説します。

ドイツ語の不規則動詞とは? 規則動詞との違いを30秒で理解

規則動詞(弱変化)の三基本形パターン

ドイツ語動詞の核となる活用形を三基本形(Stammformen)と呼びます。順に 不定詞・過去基本形・過去分詞 の3つです。

規則動詞(弱変化動詞)はこのパターンが完全に決まっています。

不定詞 過去基本形 過去分詞
lernen(学ぶ) lernte gelernt
kaufen(買う) kaufte gekauft

語幹は変わらず、-tege-...-t を付けるだけ。これが「規則的(弱変化)」と呼ばれる理由です。

不規則動詞は「強変化」「混合変化」「完全不規則」の3種類

これに対して不規則動詞は、語幹の母音そのものが変化します。大きく次の3種類に分かれます。

種類 特徴
強変化 (starke Verben) 幹母音が変わり、過去分詞は ge-...-en singensanggesungen
混合変化 (Mischverben) 母音は変わるが、過去基本形・過去分詞は -te / -t を取る bringenbrachtegebracht
完全不規則 上記いずれにも当てはまらない少数の動詞 sein, haben, werden, wissen

ポイント: 不規則動詞の数は約180語。ただし日常で頻繁に使うのはその中の50〜60語ほどです。まずは重要なものから順に攻略しましょう。


まず覚えるべき重要不規則動詞TOP30

使用頻度が高い動詞から覚える理由

「全部覚えよう」と思うと挫折します。不規則動詞はジップの法則(少数の語が圧倒的な頻度で使われる)が強く効くので、まず使用頻度TOP30を完璧にするのが最短ルートです。

このTOP30を覚えれば、A2〜B1レベルの読み書き・会話の不規則動詞遭遇率の8割以上をカバーできます。

TOP30一覧表

不定詞 / 3人称単数現在 (er) / 過去基本形 / 過去分詞 / 助動詞 / 意味 の順で示します。* は完了形で sein を取る動詞です(多くは移動・状態変化を表しますが、sein bleiben のように慣用的に sein を取るものも含まれます)。

不定詞 er現在 過去基本形 過去分詞 助動詞 意味
sein ist war gewesen sein* ある、〜である
haben hat hatte gehabt haben 持っている
werden wird wurde geworden sein* 〜になる
gehen geht ging gegangen sein* 行く
kommen kommt kam gekommen sein* 来る
sehen sieht sah gesehen haben 見る
geben gibt gab gegeben haben 与える
nehmen nimmt nahm genommen haben 取る
finden findet fand gefunden haben 見つける
sprechen spricht sprach gesprochen haben 話す
essen isst gegessen haben 食べる
trinken trinkt trank getrunken haben 飲む
schlafen schläft schlief geschlafen haben 眠る
fahren fährt fuhr gefahren sein* (乗物で)行く
laufen läuft lief gelaufen sein* 走る、歩く
stehen steht stand gestanden haben 立っている
lesen liest las gelesen haben 読む
schreiben schreibt schrieb geschrieben haben 書く
treffen trifft traf getroffen haben 会う
bleiben bleibt blieb geblieben sein* とどまる
helfen hilft half geholfen haben 助ける
denken denkt dachte gedacht haben 考える
bringen bringt brachte gebracht haben 持ってくる
kennen kennt kannte gekannt haben 知っている
wissen weiß wusste gewusst haben (事実を)知る
lassen lässt ließ gelassen haben 〜させる
halten hält hielt gehalten haben 持つ、止める
tragen trägt trug getragen haben 運ぶ、着る
fallen fällt fiel gefallen sein* 落ちる
beginnen beginnt begann begonnen haben 始まる

覚え方のコツ: いきなり全部を一度に詰め込もうとせず、1日3〜5語ずつ、声に出して三基本形をリズムよく唱えましょう。gehen, ging, gegangen のように。


幹母音パターン別 強変化動詞の覚え方

強変化動詞は、母音の変化パターンでグループ分けできます。**「同じパターン=同じ仲間」**として覚えると、新しい動詞に出会ってもすぐに変化を予測できるようになります。

ここでは主要な9パターンを完全公開します。

パターン1:ei → ie → ie

不定詞 過去基本形 過去分詞 意味
bleiben blieb geblieben とどまる
scheinen schien geschienen 輝く、〜のように見える
schreiben schrieb geschrieben 書く

Er ist zu Hause geblieben.(彼は家にとどまった。)

パターン2:ei → i → i

不定詞 過去基本形 過去分詞 意味
beißen biss gebissen 噛む
reiten ritt geritten (馬に)乗る
streiten stritt gestritten 争う

Der Hund hat mich gebissen.(犬が私を噛んだ。)

パターン3:ie → o → o

不定詞 過去基本形 過去分詞 意味
fliegen flog geflogen 飛ぶ
verlieren verlor verloren 失う
schließen schloss geschlossen 閉める

Wir sind nach Berlin geflogen.(私たちはベルリンへ飛行機で行った。)

パターン4:i → a → u

不定詞 過去基本形 過去分詞 意味
finden fand gefunden 見つける
singen sang gesungen 歌う
trinken trank getrunken 飲む

Ich habe meinen Schlüssel gefunden.(鍵を見つけた。)

パターン5:i → a → o

不定詞 過去基本形 過去分詞 意味
beginnen begann begonnen 始まる
schwimmen schwamm geschwommen 泳ぐ
gewinnen gewann gewonnen 勝つ

Der Film hat schon begonnen.(映画はもう始まった。)

パターン6:e → a → o

不定詞 過去基本形 過去分詞 意味
nehmen nahm genommen 取る
sprechen sprach gesprochen 話す
helfen half geholfen 助ける

Sie hat mir geholfen.(彼女は私を助けてくれた。)

パターン7:e → a → e

不定詞 過去基本形 過去分詞 意味
geben gab gegeben 与える
sehen sah gesehen 見る
lesen las gelesen 読む

Ich habe ihm das Buch gegeben.(私は彼にその本を渡した。)

パターン8:a → u → a

不定詞 過去基本形 過去分詞 意味
fahren fuhr gefahren (乗物で)行く
tragen trug getragen 運ぶ、着る
schlagen schlug geschlagen 打つ

Wir sind nach München gefahren.(私たちはミュンヘンへ行った。)

パターン9:a → i → a

不定詞 過去基本形 過去分詞 意味
fallen fiel gefallen 落ちる
lassen ließ gelassen させる、置いていく
halten hielt gehalten 持つ、止める

Das Glas ist gefallen.(グラスが落ちた。)

早見の法則: 過去分詞の母音が 不定詞と同じ(パターン1, 7, 8, 9)か、過去基本形と同じ(パターン2, 3, 5, 6)か、どちらとも違う(パターン4のみ)の3タイプに集約できます。


現在人称変化でも変わる幹母音

不規則動詞のもう1つの落とし穴が、現在形の duer/sie/es で母音が変わる現象です。三基本形ばかり見ていると見落としがちです。

e → i(geben → du gibst, er gibt)

主語 geben essen helfen sprechen
ich gebe esse helfe spreche
du gibst isst hilfst sprichst
er/sie/es gibt isst hilft spricht
wir geben essen helfen sprechen
ihr gebt esst helft sprecht
sie/Sie geben essen helfen sprechen

Er gibt mir das Buch.(彼は私にその本を渡す。)

e → ie(sehen → du siehst, er sieht)

主語 sehen lesen empfehlen
ich sehe lese empfehle
du siehst liest empfiehlst
er/sie/es sieht liest empfiehlt

Sie liest jeden Tag ein Buch.(彼女は毎日本を読む。)

a → ä(fahren → du fährst, er fährt)

主語 fahren schlafen tragen fallen
ich fahre schlafe trage falle
du fährst schläfst trägst fällst
er/sie/es fährt schläft trägt fällt
wir fahren schlafen tragen fallen

Du fährst zu schnell.(君は運転が速すぎる。)

du / er sie es 形チェックリスト

新しい動詞に出会ったら、次の3点を確認しましょう。

重要: 母音交替は duer/sie/es だけで起こり、ich と複数(wir / ihr / sie)では起こりません。ich fahre, wir fahren で母音は変わらないのです。


混合変化動詞(Mischverben)8選

混合変化動詞は、強変化(母音が変わる)と弱変化(-te / -t を取る)のハイブリッドです。数は少ないですが、いずれも頻出語です。

不定詞 過去基本形 過去分詞 意味
bringen brachte gebracht 持ってくる
denken dachte gedacht 考える
kennen kannte gekannt (人を)知っている
nennen nannte genannt 名付ける
brennen brannte gebrannt 燃える
rennen rannte gerannt 走る
senden sandte gesandt 送る
wenden wandte gewandt 向ける

Ich habe an dich gedacht.(君のことを考えていたよ。)

特徴は次の3点です。

  1. 母音が e/ia に変化する(強変化的)
  2. 過去基本形・過去分詞は -te / -t を取る(弱変化的)
  3. bringenbrachte のように、子音まで変わる例もあります(ngch)。

注意: sendenwenden は規則変化形(sendete / gesendet, wendete / gewendet)も使われます。特に「テレビ・ラジオで放送する」の意味の senden は現代では弱変化(sendete / gesendet)が標準です。一方、「(手紙などを)送る」の意味では伝統的な強変化形(sandte / gesandt)も依然として使われます。


完全不規則動詞:sein / haben / werden / wissen

この4語は文字通り「別格」です。どのパターンにも収まらず、最頻出なので最初に丸暗記してしまうのが正解です。

不定詞 ich du er/sie/es 過去基本形 過去分詞
sein bin bist ist war gewesen
haben habe hast hat hatte gehabt
werden werde wirst wird wurde geworden
wissen weiß weißt weiß wusste gewusst

Ich bin müde.(私は疲れている。)

Sie hat keine Zeit.(彼女は時間がない。)

特に wissen は単数 ich / er/sie/es がともに weiß で語尾なし、というレアな形をします。注意しましょう。


間違えやすい自動詞・他動詞ペア

ドイツ語には、意味も形も似ているのに変化型が違う動詞ペアがあります。代表は「位置動詞」3組です。自動詞は強変化、他動詞は規則変化になっているのがミソ。

liegen(横たわっている)vs legen(横たえる)

動詞 意味 三基本形 助動詞
liegen 横たわっている(自) liegen — lag — gelegen haben
legen 横たえる(他) legen — legte — gelegt haben

Das Buch liegt auf dem Tisch.(本は机の上にある。)

Ich lege das Buch auf den Tisch.(本を机の上に置く。)

sitzen(座っている)vs setzen(座らせる)

動詞 意味 三基本形 助動詞
sitzen 座っている(自) sitzen — saß — gesessen haben
setzen 座らせる(他) setzen — setzte — gesetzt haben

Sie saß auf dem Stuhl.(彼女は椅子に座っていた。)

Sie setzte das Kind auf den Stuhl.(彼女は子供を椅子に座らせた。)

stehen(立っている)vs stellen(立てる)

動詞 意味 三基本形 助動詞
stehen 立っている(自) stehen — stand — gestanden haben
stellen 立てる(他) stellen — stellte — gestellt haben

Die Vase steht auf dem Tisch.(花瓶は机の上にある。)

Ich stelle die Vase auf den Tisch.(花瓶を机の上に置く。)

見分け方のコツ: 自動詞(liegen / sitzen / stehen)は「すでにそこにある状態」、他動詞(legen / setzen / stellen)は「動作によって状態を作る」と覚えると混同しません。前置詞も自動詞は3格(位置)、他動詞は4格(方向)を取ります。


不規則動詞の効率的な暗記法

三基本形は「声に出して」リズムで覚える

不規則動詞の三基本形は、音の連なりとリズムで記憶されます。gehen, ging, gegangen を「ゲーエン・ギング・ゲガンゲン」と口に出して何度も唱えましょう。視覚だけで覚えるより圧倒的に定着率が上がります。

3つを連続で言うのがコツです。「不定詞だけ・過去形だけ」と分割するより、3つセットで音のフレーズとして体に染み込ませます。

FSRS(間隔反復)で長期記憶へ定着させる

「不規則動詞は規則がない」というのは半分ウソで、復習タイミングを最適化すれば誰でも長期記憶に定着させられるのが現代の学習科学の知見です。

その仕組みがFSRS(Free Spaced Repetition Scheduler)。Ankiが2023年からデフォルト採用した最新の間隔反復アルゴリズムで、SM-2比で20〜30%少ない復習量で同等の記憶定着率を達成します。

不規則動詞こそFSRSが最も効果を発揮する分野です。理由は3つ。

  1. 個別の動詞ごとに難易度が違うsein のような頻出語と streiten のようなマイナー語では、必要な復習頻度が違う。FSRSは動詞ごとに最適間隔を学習する。
  2. 思い出すたびに記憶が強化される:「もう少しで忘れそう」というギリギリのタイミングで復習すると、記憶が最も強く定着する(これを検索練習効果と呼ぶ)。
  3. 「もう一度/難しい/良い/簡単」の自己評価で、自分の習熟度に合わせて自動調整される。

「ドイツ語 単語と熟語」で不規則動詞を学習する

「ドイツ語 単語と熟語」 はFSRSを採用したドイツ語フラッシュカードPWAです。不規則動詞も三基本形ごとカード化されており、日本語↔ドイツ語の両方向で練習できます。スマホでもPC(PWA)でも、すきま時間にめくっていくだけで、忘却曲線に沿った最適な復習を自動で組んでくれます。

A2レベルを学習中の方は、まずA2の単語を練習するから始めてみてください。本記事のTOP30動詞も含まれています。


まとめ:優先順位を意識して段階的に攻略する

不規則動詞の攻略ロードマップをおさらいします。

  1. 完全不規則の4語sein / haben / werden / wissen)をまず丸暗記する
  2. TOP30を1日3〜5語のペースで音読しながら覚える
  3. 9つの幹母音パターンを意識し、新しい動詞は「どの仲間か」を判別する癖をつける
  4. 現在人称変化du / er 形)を別途チェックする
  5. 混合変化8語は子音変化に注意してまとめて覚える
  6. 自動詞・他動詞ペアは3組セットで対比して覚える
  7. FSRSで間隔反復を回し、長期記憶へ定着させる

「全部一度に覚えなきゃ」と焦らず、TOP30 → パターン認識 → 周辺語 の順で広げていけば、3〜6ヶ月で不規則動詞は怖くなくなります。規則のなさを嘆くより、母音パターンを味方につけよう——これが本記事のメッセージです。

文法の関連記事もぜひあわせてどうぞ。


この記事で紹介した不規則動詞を、「ドイツ語 単語と熟語」のフラッシュカードで練習しましょう。FSRSが自動で最適な復習タイミングを組んでくれます。

A2の単語を練習する

関連記事